食中毒菌検査
主食である米飯やめん類、あるいは副食材料の冷凍食品やゼリー類等のデザートなど、多様な食品について食中毒の原因となる以下のような項目について検査しています。
汚染指標菌検査と併せて行うことで、一層の安心・安全を確認しています。
LAMP法による腸管出血性大腸菌検査
顕微鏡観察
黄色ブドウ球菌
通性嫌気性のグラム陽性の球菌でぶどうの房状に連なる特徴を持ちます。
黄色ブドウ球菌は代表的な毒素型食中毒菌で、菌の増殖に伴って食品中に産生されたエンテロトキシンにより食中毒を起こします。
潜伏期間は1〜6時間(平均3時間)で悪心、嘔吐で続いて腹痛、下痢も見られます。
原因食品は弁当、おにぎり、生菓子類などがあります。
検査した食品から黄色ブドウ球菌が検出された場合、非衛生的な取扱いの可能性が示されます。
セレウス菌
セレウス菌は自然環境に広く分布しており、農産物(特に穀類)、水産物、畜産物などから検出されます。
セレウス菌は芽胞を形成し、芽胞の状態では熱に強く、加熱で完全に死滅させることはできません。
セレウス菌食中毒は、潜伏期が8〜16時間で、症状により「嘔吐型」と「下痢型」の2種類があり、原因食品は米飯、焼きめし、スパゲッティーなどの穀物加工食品、肉類、野菜、スープ類、バニラソース、プリンなど多岐にわたります。
サルモネラ
腸内細菌科に属するグラム陰性桿菌で感染性食中毒菌の代表です。
家畜や家禽の腸管内に存在し、食肉、鶏卵など本菌で汚染されることがあります。
調理施設内では食品取扱者がサルモネラ汚染した食材を取扱い、別の食品・器具等に汚染を広げてしまう二次汚染があります。
症状ですが、5〜72時間(平均12時間)の潜伏期間後、吐き気、おう吐で始まり、腹痛、下痢をおこします。
サルモネラ(属菌)で汚染された食肉や鶏卵などが原因食品となる可能性が高いと言われています。
腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオは好塩性の細菌で、海水温度が15℃を超える5月〜10月にかけて魚介類、海藻類から検出され、夏場はきわめて検出率が高くなります。これらの食品から菌を排除することは難しいのですが、真水や熱に弱く、また5℃以下ではほぼ増殖しないので、適切な処理がされた食品では問題ありません。
本菌に汚染された魚介類等の他、それらを調理した器具(まな板、包丁など)を介して間接的に汚染された食品も汚染源となる(二次汚染)ので気をつけましょう。
食中毒は喫食後5〜24時間の潜伏期間をおいて、下痢・腹痛・嘔吐・悪心・発熱などの急性胃腸炎症状を主として発症します。
ウェルシュ菌
ウェルシュ菌は家畜や家禽などの腸内や土壌、河川水にも分布しているため、食肉あるいは野菜などの多くの食品は本菌に汚染されている可能性があります。特徴として耐熱性の芽胞を形成する為、加熱処理によっても完全に死滅させることができません。
肉団子、スープといったように調理後徐々に冷やされ嫌気状態になる食品が原因食品となります。ただし、動物や食品から検出されるすべてのウェルシュ菌がヒトに食中毒を起こすのではなくエンテロトキシンの産生性を有する一部のウェルシュ菌が食中毒の原因となります。7時間〜24時間の潜伏期の後に水溶性の下痢と腹痛の症状が現れます。
腸管出血性大腸菌
腸管出血性大腸菌は汚染された食品等を摂取することで、菌が体内へ侵入した後、産生されるベロ毒素により感染します。食中毒は比較的長い潜伏期(4〜8日)のあと、水溶性下痢や腹痛などの初期症状が現れ、やがて激しい血性の下痢へと移行します。
国内での分離頻度が多い血清型はO157ですが、その他の血清型の分離頻度も高くなってきており、2012年12月に厚生労働省より、腸管出血性大腸菌O26,O111およびO157の検査法(平成24年12月18日食安監発1217号第1号)が通知され、検査法にはベロ毒素(VT)産生遺伝子検出法が採用されました。さらに、平成26年12月10日食安監発1120号第1号でO103、O121及びO145を加えて通知されました。当財団では遺伝子検査法(LAMP法)を導入して対応しております。
腸管出血性大腸菌は少量の菌数で発症します。食品製造時の衛生管理、製品の温度管理を徹底すること、また製造時の使用水などの衛生管理が特に重要です。